「キュレーションとは?」の疑問に答える3冊のオススメ本


「キュレーション」という言葉を一部で聞くようになったが、まだ意味がよく分からない方も多いのでは無いか。

キュレーション

こちらの3冊は、「キュレーションを理解する」と共に、「今後の情報社会を考察する」上で、非常にお薦めなので、まとめてご紹介したい。

 

▼ キュレーションの「定義」とは?

まず、キューレーションの「定義」の部分を抜粋してみたい。

・佐々木 俊尚 (著) 『キュレーションの時代 「つながり」の情報革命が始まる』 より

無数の情報の中から、自分の価値観や世界観に基づいて情報を拾い上げ、そこに新たな意味を与え、そして多くの人と共有すること。(冒頭部より)

 

・勝見 明(著) 『石ころをダイヤに変える「キュレーション」の力』 より

フリーの「無料」、シェアの「共有」にならって、キュレーションをひと事で表現するなら「編集」ないしは「新しい編集」とでもなるでしょう。(P2 はじめにより)

 

・スティーブン・ローゼンバウム (著) 『キュレーション 収集し、選別し、編集し、共有する技術』 より

収集し、選別し、編集し、共有する技術(日本語版 副題より)

 

 

キュレーションが話題になってきている「背景」としては、 端的に言って、

情報が溢れかえっているので、目利き(フィルタリング)が必要

という事が挙げられる。近年、「NAVERまとめ」などのまとめサイトが増えている点も、その兆候だろう。

 

以下、お薦め書としてあげた3冊を、少しづつだがご紹介したい。

 

▼ 1.『キュレーションの時代 「つながり」の情報革命が始まる』

キュレーションの時代 「つながり」の情報革命が始まる (ちくま新書) キュレーションの時代 「つながり」の情報革命が始まる (ちくま新書)
佐々木 俊尚

筑摩書房 2011-02-09

本書を 一言でいうと…

「つながり」の重要さをうたう、情報社会論

 

 

味わい深い読ませる文章なので、個人的には楽しめたが、本題に入るまでの導入部が長い印象。要点だけ知りたい方は、やや不満を感じる面もあるかもしれない。

「情報を求める人が存在している場所」を、本書ではビオトープと呼ぶことにしましょう。(P42)

詳細は書籍で確認して欲しいが、キーワードとなる「ビオトープ」の概念は、非常に興味深い。

「どのようにして情報を広めていくか」の参考になるので、特に、広報・プロモーションに関わっている方は、本書を読んで理解を深めておいた方が良いだろう。

 

▼ 2.『石ころをダイヤに変える「キュレーション」の力』

石ころをダイヤに変える「キュレーション」の力 石ころをダイヤに変える「キュレーション」の力
勝見明

潮出版社 2011-10-05

 本書を一言でいうと…

「キュレーション」の考え方をビジネスで活かそう!

 

「任天堂Wii」・「ダイゾンの羽の無い扇風機」・「キリンフリー(ノンアルコールビール)」の考察など、身近な事例が豊富で分かりやすい。そして、事例ごとに、

① 既存の意味の問い直し(再定義のプロセス)
② 要素の選択・絞り込み・結びつけ(新しい編集のプロセス)
③ 新しい意味・文脈・価値の生成(創発のプロセス)

を考察している点も、秀逸だ。キュレーションの考え方を具体的にビジネスに役立てたい人には、本書が最適だろう。スティーブ・ジョブズ氏に関する好意的な記述も多いので、ジョブズ氏に興味がある方にもお薦めだ。

 

▼ 3.『キュレーション 収集し、選別し、編集し、共有する技術』

キュレーション 収集し、選別し、編集し、共有する技術 キュレーション 収集し、選別し、編集し、共有する技術
スティーブン・ローゼンバウム 監訳・解説:田中洋

プレジデント社 2011-12-20

本書を一言でいうと…

「人間の強み」が活かせる、キュレーション時代が到来!

 

個人的には、この本が一番好きであり、大絶賛の内容。「WEBコンテンツ」に関する記述が豊富なので、WEBサイトや、WEBサービスに携わっている方は、必読だろう。

この本は、情報新時代への希望を与えてくれた。ローゼンバウムは、人間の存在がますます重要になると指摘している。人間は、創造性、知性、そして遊び心を備え、洪水のような情報のなかから流行を見抜き、パターンを見つけ出し、意味を理解することができるからだ。

『ハイ・コンセプト』などの著書で有名な、ダニエル・ピンク氏も、上記の推薦文を寄せている。読むと、希望を感じる一冊でもあり、解説にあるように「近未来のメディア社会を知るための本」になっている。

 

・・・ 私も、「キュレーション」という言葉を知ったのは、つい1カ月ほど前であるが、「この概念は、今後ますます重要性が高まる!」という予感がしている。

 

 

どれも素晴らしい知恵が詰まった良書なので、1冊手に取ってみて、興味を持った方は、ぜひ3冊とも読んでみて欲しい。なお、2月2日 六本木アカデミーヒルズにて、イベントが開催されるとの事なので、興味のある方は、こちらもチェックしてみると良いだろう。

アカデミーヒルズ:2012年02月02日 (木)  19:30~21:30
「キュレーター」がメディア、マーケティング、イノベーションの未来を変える

 

▼  「キュレーション」の理解を深める参考リンク

朝日新聞社広告局マーケティング・キーワード 「キュレーション」 

ASCII.jpキュレーションって何ですか? NAVER森川社長に聞く

 



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